足の親指の付け根が腫れて、ペンチで締め上げられるように痛い。痛風の患者さんの訴えです。そこまで行かなくとも、健康診断で尿酸値が高いことを指摘されたかたは多いでしょう。食べ物や体の中で作られる、核酸などの老廃物(尿酸)が体にたまり、関節の中で結晶化して炎症を引き起こし、激痛を生じるのが痛風です。
昔は痛風になるのはは王侯貴族に限られていました。日本では相撲取りの方々です。美食とアルコールが原因です。食うや食わずの庶民には無縁の病気だったものが、最近では特に肉食が増えていることとあいまって中高年からさらに若年の男性にも拡がっています。
高尿酸血症を指摘される方は、生活習慣に問題を抱えている方が多いため、肥満や高脂血症、高血圧症、糖尿病などと合併して見られることが多く、マルチプルリスクといわれて心血管疾患が発生する危険性が高まります。
血清尿酸値が7を超えたら、体重を減らす、アルコールを控える、美食をやめて野菜中心の粗食にする、ウォーキングなどの有酸素運動を行うなど、生活習慣を改善するよう努力していただきます。
尿酸値が8を超えたら薬物療法を開始します。
不幸にして痛風発作が起きてしまったら、軽いうちはコルヒチンの内服で、ひどい場合は座薬などの消炎鎮痛剤を使用して、発作を押さえ込みます。発作が治まって1週間ほどしてから尿酸低下療法を開始しますが、このとき尿が酸性だと尿酸が結晶化して、尿路結石を起こす場合があるので、尿をアルカリ化する薬を併用する場合もあります。
ところが、痛みが治まるとそれきり来院しない不届きものが多いので困っています。
高尿酸血症を放置すると、痛風に冒される関節が、拡がるだけでなく、腎臓に尿酸が沈着して、腎不全に至る場合もあります。なによりひとつのリスクを放置することは、他のマルチプルリスクを放置することにもつながるので、是非とも避けていただきたいと思います。