COPDという病気をご存知でしょうか?
COPDとは慢性閉塞性肺疾患の略語です。肺気腫、慢性気管支炎、びまん性汎細気管支炎など肺への空気の通り道が狭くなる病気の総称です。平成15年には日本での死亡原因では10位でしたが、世界では4位を占め、日本でも平成13年に発表された大規模疫学調査研究の結果では、約530万人の患者がいると推定されました。しかもさらに今後急速に増加することが予想されています。
一番多い肺気腫の場合、肺の老化に加え汚染物質(ほとんど例外なくたばこ)を吸入することによって起こり、小さな袋の集合である肺の肺胞構造が次第に壊れてスカスカになって、肺が空気で腫れている(肺気腫)状態となり、肺が膨らみきって十分に縮めないこととなります。症状としては最初は無症状の場合から、徐々に階段や早足での息切れが現れ、咳や痰も加わり、悪くなると少し身動きしただけで苦しくなってしまいベッドから一歩も出られないほどになってしまいます。
診断には喫煙歴の聴取に加え、レントゲンやCTスキャン、肺活量検査、酸素飽和度の測定など一般的な検査で可能です。
治療は一にも二にも禁煙です。1日でも早いほうが良いのですが、遅すぎることはありません。喫煙を続けていては肺胞構造の破壊はどんどんと進んでしまいます。ただし残念ながら禁煙したからといって壊れた肺胞が元に戻るわけではありません。
肺気腫があると風邪や肺炎が悪化しやすいので、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの予防接種も効果的です。
平成16年チオトロピウム(商品名スピリーバ)という吸入カプセルが発売されました。
呼吸困難の改善、肺機能の改善、急性増悪の減少と従来の薬より明らかに優れた効果を1日1回の吸入でもたらします。
肺気腫が進行して低酸素状態になってしまった方には、簡単な装置で酸素を吸入する在宅酸素療法が行われ、明らかな生命予後の改善が得られることが知られています。
ヘビースモーカーの(だった)方、息切れを自覚されておられる方、是非ご相談下さい。
2005.05.22更新
第9回 肺胞破壊者(COPD:慢性閉塞性肺疾患)
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