今日ミュージカルSEMPO観て来ました。SEMPOとは迫害を受けた多くのユダヤ人に日本のビザを独断で発行することによって、多くの命を救ったリトアニア駐在の副領事杉原千畝氏のことです。
中島みゆきさんのファン(妻は追っかけと私を呼びます)としては中島さん作詞作曲の初ミュージカルと聞いて、行かない訳にはいきません。一寸残念なことに中島さんの曲は6曲だけでした。でも聴くとすぐ判りました。詞も曲も独特の雰囲気に加えて、輝きを感じたのは私がファンだからでしょうか。主演の吉川晃司さんも曲を書いていてこれも良い出来でした。あとの曲は外国の方で可も不可もなしといったところでした。
第一幕は第二次世界大戦前の世界情勢がミュージカル仕立てで延々と続き、一寸退屈気味でしたが、最後に千畝役の吉川さんソロが素晴らしく、突然引き締まりました。
第二幕はナチスに占領されたポーランドからリトアニアに脱出してきた多くのユダヤ人達に、千畝が日本の外務省の訓令と、リトアニアを当時占領していたソ連の退去勧告を無視して、自らの立場を危うくすることも省みず、ひたすらに命を救うため、強制退去させられる駅のホームまでビザを書き続ける、感動的なストーリーで、最後中島さんのNOWで大いに盛り上がって終わりました。途中からは見ていて涙が止まりませんでした。杉原千畝が発給したビザで救われたユダヤ人は実に六千人に及び、リトアニアはその後ナチスに占領され二十万人のユダヤ人が犠牲になったそうです。
戦後千畝は外務省を解雇(外務省によれば依願退職)されます。ビザの発給を受けたユダヤ人達は日本に渡り、一部はアメリカへ達し、日米が開戦したあとは上海のゲットーへ送られ終戦まで生きながらえます。1985年千畝はイスラエル政府から諸国民の中の正義の人として表彰され、顕彰碑が作られます。翌年千畝は亡くなり、外務省が’杉原副領事は、勇気ある人道的行為を行ったと認識している’と認めたのはさらに5年後のことです。