今日土曜日、午後から日本内科学会へ行って参りました。 そう見えないかもしれませんが、私も内科医のはしくれ、一応認定医の肩書きをいただいておりますので、これはノルマ。行かないでいると認定医の更新ができなくなります。ちなみに参加費1万円。いわゆるみかじめ料みたいなものであります。 慢性関節リウマチの最新治療とか、骨髄異形成症候群の最新情報とか、少しでも疑わしいと専門家に紹介してしまうたぐいの病気の、普段あまり勉強していない話が聴けてそれなりに有意義でした。
で、ご紹介したいのが慢性関節リウマチの医療経済の話。学会では1分弱触れられただけでしたが、現在の医療の抱える問題の一端が出ていました。 この病気はどんどんと新薬が出て、劇的に治療が進歩している領域です。ところがその新薬いわゆる生物学的製剤がとてつもなく高い。おひとりの新薬一剤一年分の薬剤費だけで140万円にもなる。で一方とんでもなく恐ろしい副作用も多い。果たして本当に引き合うの? 慢性関節リウマチに限らず、最近の新薬はとても高い。大病院の先生方は薬の値段にあまり関心が無いでしょうが(かつて私もそうでした)今は院内処方で自分で請求書まで作る身ですから薬の値段に敏感にならざるを得ません。あまりに高い薬はうちでは買えないという悲しい現実もあります。 国民医療費の中で薬剤費は年々高騰していますが、その反面社会保障費毎年2200億円削減という看板はいまのところ現政権は降ろしておりません。当然医療機関や介護施設の取り分がどんどん切り下げられていきます。あちこちで病院が潰れはじめています。介護の方は今年3%アップとアナウンスされていますが、そうなる以前に2年毎の報酬改定で3回連続マイナス改定などということをして、制度の維持が危うくなったからでしょうが、霞ヶ関の官僚はとても頭が良いので名目プラス実質マイナス(一部は上がるが一部は下がる、全体としては下がる)などという離れ業を使うので本当にアップしたかどうかは何ヶ月か経たないとわからないでしょう。 ”年次改革要望書”このキーワードをご存知でしょうか?アメリカが毎年日本に突きつけてくる要求です。秘密でもなんでもなくアメリカ大使館のホームページで原文が、Wikipediaで検索していただければ邦訳も読むことが出来ます。それに対する日本の回答はシークレットですが、現在進行中の政策を見ると容易に推測は付きます。 そのなかに誤解の余地無く、日本の薬価をもっと引き上げろ、加えて年が経つほど薬価が下がる日本の制度を廃止しろと書かれています。 多くの薬はアメリカ発ですから、明らかにアメリカ製薬会社の利益の拡大が目的です。 これを受け入れたのは多分前の前?そのもう一つ前だったかな?構造改革と規制緩和の名のもとに、社会保障や教育など非生産部門には金をかけないと宣言していた政権です。 そのツケはその政権に圧勝させてしまった国民が今後払い続けなければなりません。 なんだかまた暗くなってしまいました。乞ご容赦。