2003年にホームページを立ち上げて3年、ごく一部の方にご好評を頂いていたコラムの更新も滞り、検索エンジンでもどこへ行ったか探すのに苦労する状況でした。
そこへ現れたA社の営業マンM君。
これからはブログの時代です。ブログ化すれば注目度アップは間違いなし、更新も容易だし、検索エンジン対策にもなります。 うちの娘より若いM君の熱意に溢れた売り込みにまんまと乗せられ、サポート契約を結んでホームページをブログ化してしまいました。 考えたら更新する原稿は自分で書かなければいけない事態に変わりはなく、果たしていつまで続くか判りませんが、生来筆不精の私ですが精々頑張って見たいと思います。よろしくごひいきに。 会ってみたくなったら是非医院のほうへお越し下さい。
2006.12.09更新
第10回 ホームページ・リニューアルオープン
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2005.05.22更新
第9回 肺胞破壊者(COPD:慢性閉塞性肺疾患)
COPDという病気をご存知でしょうか?
COPDとは慢性閉塞性肺疾患の略語です。肺気腫、慢性気管支炎、びまん性汎細気管支炎など肺への空気の通り道が狭くなる病気の総称です。平成15年には日本での死亡原因では10位でしたが、世界では4位を占め、日本でも平成13年に発表された大規模疫学調査研究の結果では、約530万人の患者がいると推定されました。しかもさらに今後急速に増加することが予想されています。
一番多い肺気腫の場合、肺の老化に加え汚染物質(ほとんど例外なくたばこ)を吸入することによって起こり、小さな袋の集合である肺の肺胞構造が次第に壊れてスカスカになって、肺が空気で腫れている(肺気腫)状態となり、肺が膨らみきって十分に縮めないこととなります。症状としては最初は無症状の場合から、徐々に階段や早足での息切れが現れ、咳や痰も加わり、悪くなると少し身動きしただけで苦しくなってしまいベッドから一歩も出られないほどになってしまいます。
診断には喫煙歴の聴取に加え、レントゲンやCTスキャン、肺活量検査、酸素飽和度の測定など一般的な検査で可能です。
治療は一にも二にも禁煙です。1日でも早いほうが良いのですが、遅すぎることはありません。喫煙を続けていては肺胞構造の破壊はどんどんと進んでしまいます。ただし残念ながら禁煙したからといって壊れた肺胞が元に戻るわけではありません。
肺気腫があると風邪や肺炎が悪化しやすいので、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの予防接種も効果的です。
平成16年チオトロピウム(商品名スピリーバ)という吸入カプセルが発売されました。
呼吸困難の改善、肺機能の改善、急性増悪の減少と従来の薬より明らかに優れた効果を1日1回の吸入でもたらします。
肺気腫が進行して低酸素状態になってしまった方には、簡単な装置で酸素を吸入する在宅酸素療法が行われ、明らかな生命予後の改善が得られることが知られています。
ヘビースモーカーの(だった)方、息切れを自覚されておられる方、是非ご相談下さい。
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2004.11.01更新
第8回 ウォーキングのゲーム
健康診断で尿酸やコレステロール、中性脂肪、血糖値、血圧などの異常を指摘され、生活習慣病やその予備軍と言われている皆さん、対策をきちんととられていますか?
多くの方は食事内容に注意し、運動を定期的に行い、体重を落とすよう指示されたことと思います。
今回はその中で運動について、勝手を述べたいと思います。
一口に運動と言ってもいろいろありますが、テニスやサッカーなどの激しいスポーツは基本的には十代二十台の若い方のやることだと思います。厳しく節制してこられた方が年配になってもこれらのスポーツを楽しまれておられますが、節制をしてこなかったからこそ生活習慣病の予備軍となっている方々には、心臓発作の危険もないとは言えず避けるべきと考えます。
ジョギングは良さそうに見えますが、体重オーバーの方には、ひざへの衝撃が大きく関節を痛める可能性大で、あまりお勧めできません。
すべての方にお勧めなのがウォーキングです。運動のうちに入らないようなイメージを持たれる方もおられるでしょうが、普段の歩行よりサッサッと(フラフラではだめ)15分も続けると全身が汗ばんできます。なによりドアを開けて一歩外へ出ればそこがフィールド、いつでも思い立ったときにできると言う手軽さが良いし、怪我の心配がないのも良い。車で通り過ぎては気が付かないような自然や人の営みの発見があるのも楽しいものです。
ウォーキングの際のポイントは、普段より歩幅を伸ばして(身長×0.45と言われるが短足の私には苦しい)、サッサッとテンポ良く、姿勢を良く背筋を伸ばし前を見て歩くことです。
オムロン社のウォーキングスタイルの上位機種の万歩計(HJ-710IT)のような正確で、しかもインターネットに繋がって全国でのランクが分かるようなツールもまた楽しい。ちなみにランクでトップの方は1日平均7万歩と驚くべき歩数をこなしておられます。
お忙しい方は会社の行き帰りに一駅分とか、普段はバスに乗るところを歩いてごらんになってはいかがでしょう。新しい発見があるはずです。さっそく今日から始めましょう。毎日でなくて結構です。週に2-3回でも始めてみてください。充実感が得られますよ。
但し体重を減らすには食事療法と出来れば筋力トレーニングなどの併用が必要です。歩くだけでは多分体重は減りません。お間違え無きよう。
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2004.09.04更新
第7回 痛風掃滅
足の親指の付け根が腫れて、ペンチで締め上げられるように痛い。痛風の患者さんの訴えです。そこまで行かなくとも、健康診断で尿酸値が高いことを指摘されたかたは多いでしょう。食べ物や体の中で作られる、核酸などの老廃物(尿酸)が体にたまり、関節の中で結晶化して炎症を引き起こし、激痛を生じるのが痛風です。
昔は痛風になるのはは王侯貴族に限られていました。日本では相撲取りの方々です。美食とアルコールが原因です。食うや食わずの庶民には無縁の病気だったものが、最近では特に肉食が増えていることとあいまって中高年からさらに若年の男性にも拡がっています。
高尿酸血症を指摘される方は、生活習慣に問題を抱えている方が多いため、肥満や高脂血症、高血圧症、糖尿病などと合併して見られることが多く、マルチプルリスクといわれて心血管疾患が発生する危険性が高まります。
血清尿酸値が7を超えたら、体重を減らす、アルコールを控える、美食をやめて野菜中心の粗食にする、ウォーキングなどの有酸素運動を行うなど、生活習慣を改善するよう努力していただきます。
尿酸値が8を超えたら薬物療法を開始します。
不幸にして痛風発作が起きてしまったら、軽いうちはコルヒチンの内服で、ひどい場合は座薬などの消炎鎮痛剤を使用して、発作を押さえ込みます。発作が治まって1週間ほどしてから尿酸低下療法を開始しますが、このとき尿が酸性だと尿酸が結晶化して、尿路結石を起こす場合があるので、尿をアルカリ化する薬を併用する場合もあります。
ところが、痛みが治まるとそれきり来院しない不届きものが多いので困っています。
高尿酸血症を放置すると、痛風に冒される関節が、拡がるだけでなく、腎臓に尿酸が沈着して、腎不全に至る場合もあります。なによりひとつのリスクを放置することは、他のマルチプルリスクを放置することにもつながるので、是非とも避けていただきたいと思います。
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2004.06.26更新
第6回 暁の咳喘息
風邪をひいた後、咳だけがいつまでも止まらない患者さんが増えています。
胸部レントゲンや胸の聴診であきらかな異常を認めないのに、夜になると悪化し、咳止めを服用してもほとんど効果がなく、眠れなかったり、あるいは咳で覚醒してしまったりすることが多くみられます。はなはだしい場合は失神したり、肋骨を骨折したりといった合併症が生じる場合もあります。
咳喘息は非常に多い病気ですが、通常の喘息のように呼吸困難や、ゼイゼイ・ヒューヒューする喘鳴などの特徴的な所見がないためにその診断はなかなか困難で、喘息の治療をしてみて、それが効果を発揮することによって、診断する場合が多いというのが現状です。
すなわち、痰を伴わない咳(乾性咳)が数週間以上続き、通常の咳止めが無効で、気管支拡張薬または吸入ステロイド薬で効果があれば、まず咳喘息と言うことになります。
一旦咳喘息と診断された方のうちかなりの部分が、数年のうちに本格的な喘息に移行していくと言う報告もありますので、油断は禁物です。
タバコの煙で咳が誘発される方も多いので、喫煙者はこれを機会に禁煙に踏み出してみてはいかがでしょう。実は筆者も咳喘息が原因でタバコをやめています。(相談に乗りますよ)
筆者の場合幸い軽症で年に1-2回風邪をひいたときだけ、β刺激薬の吸入を行うのみで済んでいますが、頻回に繰り返す方、症状が長引く方はステロイドの吸入がおすすめの治療法となります。
咳の長引いている方、他にもがんや結核、肺気腫、降圧剤の副作用、逆流性食道炎など慢性の咳の原因になる病気はいろいろあります。ぜひ一度専門医を受診してみてください。
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2004.04.19更新
第5回 性病大戦勃発
最近性感染症である淋病やクラミジアが増加しています。病気の原因も治療法も、簡単で確実な予防法も分かっているにもかかわらずです。このような現象は日本だけで見られる現象で、日本のような文明国でなぜこのようなことが起こるのか信じがたい思いがします。
淋病は淋菌という細菌の感染症で、男性の場合化膿性尿道炎、つまり尿道から膿がどくどくと(淋漓と)流れ出て、強い痛みを伴う病気です。女性の場合は頚管炎つまり子宮頚部の炎症から卵管や腹膜に波及して不妊症の原因となったりしますが、おりものが増えるだけで、症状に気がつかない不顕性の感染の場合もあります。
クラミジアは同名の微生物の感染症で、淋病よりは程度の軽い男性では尿道、女性では子宮頚管の炎症を起こします。やはり不妊の原因となるだけでなく、妊婦が感染していると産道感染で新生児に結膜炎を生じさせたりします。女性だけでなく男性でも不顕性の感染が多く見られ、本人が気がつかないまま、パートナーに感染させてしまいます。
淋病もクラミジアもともに抗生物質で治すことができます。
ではなぜいまこれらの病気が増加しているのでしょうか。当医院の周囲でも、夜街を歩けば客引きのお兄さんたちが声をかけてきます。品行方正な筆者ゆえ詳しくは知らないのですが、多くはオーラルセックスを提供する性風俗のサービスのようです。この性風俗で働く女性たちの喉に高率に淋菌やクラミジアが棲みついていて、無防備でサービスを受けた男性に感染させています。喉からも感染するということを知らないで、風俗にいく男性諸兄の特攻精神には驚かされます。
もうひとつの理由は性に関する知識の乏しい十代、二十代の若年層の間に、すでに高率に広がってしまっていることです。一般の二十代女性でクラミジア保菌率は実に7%もの高率に達しているというデータがあります。知識に欠けた彼らの無防備で奔放なセックスにより、次々と感染が広がっていきます。
日本でも一時これらの感染症が減った時期がありました。エイズが騒がれた時期のことです。ところが薬害エイズのような不幸な出来事が大きく報道された結果、エイズが何か特別な病気で、自分とは無縁という間違った考え方が広まってしまっています。東南アジアで売春婦と無防備なセックスをして淋病に感染した男性が、エイズは大丈夫と主張して検査を拒否したケースがありました。エイズもひとつの性感染症であることに変わりはありません。
淋病やクラミジアが増加している陰で、ひそかにエイズも増加しているはずです。
コンドームを正しく使用すれば淋病もクラミジアもエイズも防げる簡単な理屈なのに、このまま放置すれば遠からず日本は、性病大国、エイズ大国となり、爆発的な蔓延を生じることは確実です。
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2004.02.07更新
第4回 肥満国崩壊(私のダイエット論)
正直に告白すると、HPの写真のとうり筆者はデブである。身長174cmにたいし最近でも体重は86kg(2011.09.07現在77.8kg)もある。しかしデブだからこそ今まで何回もダイエットに挑んできたし、またピーク時の97kgから11kgのダイエットに成功した者として、偉そうにダイエットについて書かせていただく。
ダイエット≠体重を減らすこと
体重を減らすことはさして困難なことではありません。食べなければ当然体重は減って行きます。しかしいつまで続けることができないのはもちろん、どんな場合でも必要最低線のカロリーを下回る食事制限は免疫の低下、内分泌の混乱などを引き起こし、時には生命の危険さえもたらすことがあります。筆者は極端なカロリー制限中に生じた若い女性の重症呼吸器感染症を、一度ならず経験しました。
極端な食事制限の元では、体は飢餓状態となり、エネルギー消費の激しい(基礎代謝の大きい)筋肉の割合を減らし、入ってきたエネルギーを脂肪として蓄えようとします。体重の減少は体に警報となって、食欲を増加させて接種カロリーを増やし、基礎代謝を低下させて消費カロリーを減らし、体重を戻す向に作用します。まさにリバウンドです。
ダイエット=余計な脂肪を減らすこと
では運動で体重を減らすことは可能でしょうか。ボクシングやレスリングの選手たちは大変なハードトレーニングを積み重ねています。しかしそれだけで競技の体重制限をクリアできる人はほとんどいません。多くの選手は苦しい食事制限を併用しています。激しい運動1時間で消費されるエネルギーは600-1000kcal程度ですが、脂肪1kgの持つエネルギーは7000kcalにもなります。ランニングを7時間続けられますか?汗を流した後体重が減っているのは、脱水になっているだけで水を飲めば戻ります。
体重を減らすには食事制限が必須です。しかし極端な食事制限では筋肉が減少して基礎代謝が低下してしまう。ジレンマです。これを最小限に抑えるためには、良質の食事(1600kcal-1800kcal)に加え、脂肪を燃やす有酸素運動(ウォーキング等)と筋肉を鍛える無酸素運動(筋力トレーニング等)をともに併用することが必要です。3つのうちどれか一つが欠けてもダイエットは成功しません。しかし難しく考えることはなく、時々1つくらいさぼっても心配することはありません。気楽に気長にいきましょう。
リバウンドにご用心
リバウンドの起きないダイエット法はあり得ません。意志が弱いからリバウンドが起きるのではありません。体重が減った体から警告がでて、失った体重を取り戻そうと起きる当然の反応がリバウンドです。急激な体重減少には要注意です。月1kg程度の減量にとどめるべきでしょう。また毎日体重を測ってグラフに書くことをぜひお勧めします。右下がりのラインは、意志が挫けそうになったときの強い味方になってくれるはずです。
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2003.12.31更新
第3回 禁煙計画を追え
なぜたばこをやめたいのか?
たばこが体に悪いことは誰でも知っています。財布に良くないことも解っています。1日2箱10年吸い続けると喫煙にかかるコストは約200万円にもなるということも解っていますし、喫煙者では非喫煙者とくらべ喉頭癌で32倍、肺癌は4.5倍、虚血性心疾患は1.7倍の死亡率になるということも、喫煙者の肺は真っ黒で、組織が壊れてスカスカの肺気腫という状態になるということも、どこかで一度くらいは聞いているはずです。
それでも朝の一服、食後の一服、満員電車を降りて一服とたばこを吸うことによる満足感は何者にも変えがたく、悪いとは知りながらまた吸いたくなってしまう。それがたばこの特徴です。
なぜたばこはやめられないのか?
たばこが止められないのは、実はニコチンの中毒作用によるもので、本人の意志の弱さとは無関係です。喫煙で取り込まれたニコチンにより、カテコールアミンやベータエンドルフィンが体内で分泌されるため、多幸感、快楽、不安や緊張が取れるといった精神への作用が出現します。これが強い習慣性、依存性をもたらします。
たばこが止められないという方は、知らないうちにニコチンの薬物依存症になってしまっていて、ニコチンが切れると離脱症状(禁断症状)が出ていたのです。
薬物依存症、たとえば麻薬中毒の方は、薬物を手に入れるためなら、悪魔に魂を売り渡すようなことでも、何でもします。自らの意思で薬物を断ち切ることは容易なことではありません。そこが恐ろしさの所以です。
たばこをやめるために
たばこは決してやめられないものではありません。正しい方法に従えばやめられます。その証拠に日に40本吸っていた筆者がきっぱり禁煙して4年になります。
1)禁煙の動機を確認すること、健康のため、家族のためなど、壁に決意を張り紙にしておくと良いでしょう。
2)期日を決めてきっぱり禁煙し、たばこ、灰皿などを処分すること。少しずつ本数を減らして行く方法は絶対といってよいほど成功しません。
3)ニコチンの離脱症状の対策をとること。たばこをやめることで生じるニコチンの離脱症状を乗り切るため、ニコチンのパッチ(皮膚に貼る薬、処方箋が必要)やニコチンガムが市販されています。
4)たばこに代わる手持ち無沙汰解消法、ストレス解消法を考えておくこと。深呼吸、適度な運動、ガムやミント菓子、歯を磨くなど。
5)吸ってしまっては禁煙は成功しません。なぜ吸ってしまったのか原因と対策を考えましょう。また、吸わなかった自分をほめてあげましょう。
では皆様の禁煙計画の成功をお祈りします。
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2003.10.26更新
第2回 肺炎対策作戦発動
今春の新型肺炎(SARS)の流行は記憶に新しいことと思います。幸いなことに日本では感染者がでないで済みましたが、検疫にあたる方々や保健所の皆さん等大変なご苦労をされたことでしょう。われわれ中小医療機関でも、マスクが入手不可能だったり、上からの通達が理解不能だったり、結構大変でした。新型肺炎の恐怖は大変なものでしたが、古くからある肺炎の恐ろしさが、そのかげで軽視されるのではないでしょうか。
抗生物質が発見されて、感染症が制圧されるかのごとく思えたのは過去の話で、最近ではいろいろな細菌が抗生物質に対して耐性を持ってきています。抵抗性の弱い高齢者が増えていることとあわせ、肺炎の死亡率は悪性新生物、心疾患、脳血管疾患についで4位をしめ、しかも年々増加してきているのです。SARSによる死者は世界で800人でしたが、それ以外の肺炎では日本だけで昨年1年間に8万7千人ものかたが亡くなられています。
多くの細菌やウイルスが肺炎をおこすことが知られていますが(SARSも原因ウイルスのひとつ)、一般の方が普段の生活の中で感染した肺炎(市中肺炎)の原因のなかで最も頻度が高く、かつ重症の肺炎となるのが肺炎球菌です。これはほかにも髄膜炎や中耳炎、副鼻腔炎もおこす危険な菌で、ご多分にもれず、抗生物質への耐性化が進んでいます。
また肺炎球菌には多くの型があり、1回罹ったからといって、もう2度と罹らないというわけにもいきません。
そこで最近、肺炎球菌ワクチンが使用されるようになっています。これは23もの型の肺炎球菌に対して効果を持つ多価ワクチンで、抵抗力の落ちた人の肺炎による入院、死亡の危険を減少させること、肺炎球菌による感染症を70~80%減少させることが知られています。アメリカでは高齢者の50%にも使用されているそうです。
これは1回注射するだけで、数年間効果が持続します。一方副反応として注射部位の腫れや痛み、時に発熱が生じることがあります。残念ながら今のところ保険が効くのは脾臓を摘出している方のみで、それ以外のかたには公費補助もありません。また、医師の間でもいまひとつ浸透しておらず、積極的に接種をすすめている医療機関はごくわずかなのが現状です。
接種は2歳から可能ですが、是非お勧めしたいのは、抵抗力の落ちている65歳以上の高齢の方、免疫抑制状態の方、肺・心臓の悪い方、腎不全の方、糖尿病の方、外科手術を予定されている方などです。
多くの人が命を落としている危険な感染症ですが、予防できる感染症で命をおとすのはもったいないと思いますせんか。
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2003.09.01更新
第1回 「いま、そこにある鬱」
ホームページを立ち上げるにあたり、医学的なこと、個人的なこと、趣味のことなど内容にとらわれず思いつくまま、気の向くままの不定期更新で、書き連ねていきたいと思います。少しの間おつき合いください。
私たちの社会は日々複雑化して、スピードアップを続けています。不況やリストラは逆風となって吹きつけます。そこから受けるストレスは増える一方です。適度なストレスはやる気を引き出しますが、過度なストレスが続くと心身の不調をもたらします。そんな今、鬱(うつ)病が増えています。
あなたは夜十分に眠れないのではありませんか?食事が何を食べても美味しくないと感じられるのではありませんか?毎日がつらくはないですか?身体の症状に一日中とらわれて悪い方にばかり考えていませんか?
ひとつでも思い当たるあなた、検索エンジンで飛ばされてきたあなた、あなたのことですよ、立派な鬱病候補生です。
真面目で几帳面、責任感が強く完璧主義者のあなたは、一生懸命ストレスに負けないように、仕事でも家庭でも頑張ってきました。嫌なことも我慢してきました。しかし人が出来る頑張り、耐えられる我慢には限界があります。やがてストレスはあなたの限界を超え、心身の不調を来たすに至ります。心身の不調はまた新たなストレスとなって、あなたを責めさいなみ、真面目なあなたは自分の努力不足と自らを責め、よりいっそう頑張ろうとしますが、出口は見つからず、やがてあなたは鬱病の闇のなかに落ち込んでいってしまいます。
鬱病の闇、それは理由もなくつらく、体はたとえようもなくだるく、この世には救いが見つからない、自らには何の価値もなく思われ、考えることはただ死ぬことだけ、そんな世界です。
鬱病は病気です。ありふれた、誰でもかかる可能性のある心の病気です。気の持ちようが悪いわけでも、努力不足でも、まして気がおかしくなったわけでもありません。必要なのは休養と薬であって、叱咤激励ではありません。
悩みや苦しみを一人で抱え込んでいないで、誰かに力を貸してもらいましょう。決して恥ずかしいことではありません。あなたのことを必要としている人が必ずいます。あなたが愛している人も必ずいるはずです。その人たちのことを考えて、決して早まったことはしないでください。否定的思考は鬱病の症状の一つです。鬱病が改善すれば必ずなくなるはずです。
あなたを支えたい人間はここにもいます。もしあなたが精神科を受診することに抵抗があるならば、一介の内科医の私ですが、お手伝いをさせてください。病状によってはやはり精神科受診をお勧めするかもしれませんが、悩みや苦しみを打ち明けてくださるだけでも闇からの脱出の第一歩となるはずです。終わらない夜がないように、いつかは生きていて良かったと思える日がきっときます。さあ、新しい第一歩を一緒に踏み出しましょう。
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