院長ブログ

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2008.11.21更新

麻生太郎首相が11月19日、医師不足問題に関連し「自分で病院を経営しているから言うわけではないが、医師の確保が大変なのはよく分かる。(医師には)社会的常識がかなり欠落している人が多い。ものすごく価値観が違う」と発言されました。
 さすが高貴なご出身の方はおっしゃることが違います。
 二階俊博経済産業大臣も、東京で急変した妊婦の受け入れ先が見つからなかった事件に関連して、「政治の立場で申し上げるなら、何よりも医者のモラルの問題だと思いますよ」とおっしゃっておられます。
 全国から急速に産科医が(正確に言えば分娩を担当する医師の数が)減少している危機的状況に対して、今の内閣はこのような認識なのでしょう。

 数年前からの産科医バッシングはすさまじいものでした。
 横浜市の堀病院が看護師が内診を行っていたことが違法として、警察に摘発されました。結果多くの小規模な産科が閉鎖。
 奈良では出産中の女性が脳出血を起こし転院先で死亡した件で、毎日新聞奈良支局はと、医療訴訟すらおこされていない時点で医療ミスであったと断罪、県立大淀病院は産科を閉鎖、結果奈良県南部地域から分娩を扱う施設が消滅。後に予断に満ちた誤報であったことが判明。
 福島の県立大野病院では帝王切開中に癒着胎盤という合併症で女性が亡くなった件で、担当医が逮捕されるという決定的な事件が起こりました。激務と頻発する医療訴訟に加え、全力で治療にあたっても結果が悪ければ逮捕・拘留されるという眼の前に突きつけられた事実は、多くの医師を危険と隣り合わせのお産から立ち去らせるのに充分でした。(無罪が確定)
 そんな中で今回墨東病院の件が起きました。墨東病院は人手不足のなか、母体と胎児と二人を同時に受け入れ、帝王切開と脳外科と二つの手術をこなしました。不幸にして母体は救命できませんでしたが、素晴らしい仕事振りだと思います。ただ責められるとしたら、大幅に医師数が定員を割りこんでいるにも拘らず、総合周産期医療センターの看板を下ろしていなかった事でしょう。大学に手を引かれ、今回の件で新たな援軍が来ることも期待薄になり、その激務(連日の当直で56時間勤務!)とその待遇(全国の自治体病院中最低!)を伝え聞くにつけ、彼らのこころが萎えないか、普段から墨東病院にはお世話になっている者として心配です。
 悲観的予想をすれば、十年後にはお産のため、韓国や中国に渡る人が出るのではないでしょうか。
 首相も高級ホテルの会員制バーで葉巻を吸うのもよいですが、一度夜の救急医療の現場をご覧に行かれてはどうでしょう。ファミリーで立派な病院もお持ちなのですから。
 「医者は友達にもいっぱいいるが、おれたちと波長が合わないのが多い」そうですが、偶然にも私の方も政治家の方々とは波長が合わないと感じておりました。むしろ価値観が同じと言われなかった分まだましと思います。
 一国の首相が特定の職業を名指しで誹謗することがあってよいのでしょうか。日本医師会はこれでも今の内閣を支持し続けるのでしょうか。それこそ「社会的常識」がないと言われてしまいます。

投稿者: PL607935010

2008.08.24更新


第5日目はローカル線に乗って、聖フランチェスコの聖地アッシジまで2時間半の小旅行です。

 聖フランチェスコ聖堂は小高い山の中腹にあり、素晴らしい風景が眼下に拡がります。内部はジョットの連作のフレスコ画に飾られた荘厳な空間です。街の反対側の聖キアラ教会まで歩きましたが、激しい上り下りと大変な人ごみで少々参りました。一泊して朝晩の人のいない時間帯ならば全く違う雰囲気が味わえただろうと思います。

 翌日は特急ユーロスターに乗ってミラノへ。トスカーナの起伏に富んだ風景とは異なる平原が拡がります。夕方サンタ・マリア・グラツィエ教会(写真)のダ・ビンチの最後の晩餐との待ちに待った対面です。一回15分25人に限定された入場です。一目見た瞬間言葉を失い、熱いものがこみ上げてきました。絵の圧倒的な美しさ、ダ・ビンチが描いていたその同じ場所に立っているという興奮、第二次大戦中爆撃から命がけでこの絵を守り抜いたミラノの人々の心、人生最高の15分でした。

 最終日はミラノにあるもう1枚のダ・ビンチ楽師の肖像を見にアンブロジアーナ絵画館へ行きました。小品ですが館内には殆ど人がおらずダ・ビンチを独占して、かぶりつくように見ることができました。日本では考えられない体験です。

 無事帰国して成田に着くと激しい雷雨、高速の入り口で通行権を受け取った後、車の窓が閉まらなくなり、びしょぬれで帰るはめになるなど日本に帰ってからがむしろ大変でした。

 今、次のイタリア旅行の計画を立て始めています。ベネチアにしようか、シチリアにも行きたいと妄想が膨らみます。何年先になるか分かりませんが是非実現したいものです。

投稿者: PL607935010

2008.08.24更新


長いお休みをいただき、念願かなってイタリアへ行ってまいりました。無事帰国し、診療を再開しております。

 英語も出来ないくせに、夫婦二人で個人旅行でフィレンツェ、アッシジ、ミラノへ行ってまいりました。

 全てが順調に運びまことにラッキー、天気にもずっと恵まれました。でも飛行機でも遅れ乗り継ぎが出来ないとか起こっていたら、どうなっていたのだろうと、われながら大胆なことをしたと思います。

 イタリアでは毎日が感動の連続でした。着いた夜フィレンツェの空港からホテルへ向かうタクシーが、ドゥオーモの横を抜けて行くのにまず感激、ホテルの窓からもドゥオーモの丸屋根が見えます。この景色を見ながら一杯やるのが夢でした。

 翌日は、ウフィーツィ美術館で受胎告知(ダ・ビンチ)やウルビーノのビーナス(ティツイアーノ)と再会、ボッティチェリの春・ビーナスの誕生と対面、そのほか日本に持ってきたら一枚で展覧会が開けそうな絵がゴロゴロしています。ドゥオーモ付属美術館、訪れる人は少ないのですがドナテッロのマグダラのマリア像やギベルティの天国の門のオリジナルといった重要作品に会えました。

 次の日は早起きして、まずサンティッシマ・アンヌンツィアータ教会へ、天使が描いたと言い伝えらる聖母子像がある地元の人の信仰を集めている教会です。見学していると礼拝が始まりました。端の方で座っていると最後に地元のおじさんが握手を求めてグラーツィエ(ありがとう)と言っててくれました。とても心が癒される気がしました。次にアカデミア美術館、ミケランジェロのダビデ像です。若々しく力と気力溢れるその姿は迫力の一言です(こことウフィーツィは予約して正解だった)。まだ午前中なのでさらにサンマルコ美術館へ。フラ・アンジェリコの優しさに満ちた受胎告知にダビデで昂ぶった神経が静められます。午後からは中央市場、メディチ家礼拝堂など欲張ってしまいました。素晴らしい芸術でも一日に味わうのはほどほどにしておいた方が良いと感じました。食欲と一緒でしょう。どんな美味しい料理でも食べ過ぎは良くない。

 滞在4日目はラファエロで有名なパラティーナ美術館へ行きました。 メディチ家の宮殿のコレクションを当時の雰囲気そのままに展示してある美術館です。小椅子の聖母、ヴェールの女などラファエロ大好きな私にはこたえられない美術館ですが、絵が縦3段に飾られ、天井までびっしり装飾がほどこされた空間は少々息苦しくとても疲れました。午後からはバスに乗ってミケランジェロ広場へ。少し俗っぽいですがそこからの眺めは素晴らしいものでした。最高の風景を眺めながらビールを一杯。来て良かったと心から思える一瞬でした。

投稿者: PL607935010

2008.08.12更新

ご迷惑をおかけしますが、8月14日より21日まで夏休みをいただきます。

 子供たちも大学生、親がしばらくいなくても勝手に生きているでしょう。多分に怪しいところはありますが、そういうことにして、親たちは1週間の予定でイタリアのフィレンツェ、アッシジ、ミラノに行ってくることにしました。海外に出るのは新婚旅行以来、その上英語も出来ないくせに、個人旅行で列車での移動と大胆なことを考えてしまいました。

 無事帰ってこれたら22日診療を再開いたします。旅行の顛末はまたご報告いたします。皆様、チャオ!

投稿者: PL607935010

2008.04.13更新

今日ミュージカルSEMPO観て来ました。SEMPOとは迫害を受けた多くのユダヤ人に日本のビザを独断で発行することによって、多くの命を救ったリトアニア駐在の副領事杉原千畝氏のことです。

 中島みゆきさんのファン(妻は追っかけと私を呼びます)としては中島さん作詞作曲の初ミュージカルと聞いて、行かない訳にはいきません。一寸残念なことに中島さんの曲は6曲だけでした。でも聴くとすぐ判りました。詞も曲も独特の雰囲気に加えて、輝きを感じたのは私がファンだからでしょうか。主演の吉川晃司さんも曲を書いていてこれも良い出来でした。あとの曲は外国の方で可も不可もなしといったところでした。
 第一幕は第二次世界大戦前の世界情勢がミュージカル仕立てで延々と続き、一寸退屈気味でしたが、最後に千畝役の吉川さんソロが素晴らしく、突然引き締まりました。
 第二幕はナチスに占領されたポーランドからリトアニアに脱出してきた多くのユダヤ人達に、千畝が日本の外務省の訓令と、リトアニアを当時占領していたソ連の退去勧告を無視して、自らの立場を危うくすることも省みず、ひたすらに命を救うため、強制退去させられる駅のホームまでビザを書き続ける、感動的なストーリーで、最後中島さんのNOWで大いに盛り上がって終わりました。途中からは見ていて涙が止まりませんでした。杉原千畝が発給したビザで救われたユダヤ人は実に六千人に及び、リトアニアはその後ナチスに占領され二十万人のユダヤ人が犠牲になったそうです。
 戦後千畝は外務省を解雇(外務省によれば依願退職)されます。ビザの発給を受けたユダヤ人達は日本に渡り、一部はアメリカへ達し、日米が開戦したあとは上海のゲットーへ送られ終戦まで生きながらえます。1985年千畝はイスラエル政府から諸国民の中の正義の人として表彰され、顕彰碑が作られます。翌年千畝は亡くなり、外務省が’杉原副領事は、勇気ある人道的行為を行ったと認識している’と認めたのはさらに5年後のことです。

投稿者: PL607935010

2008.04.13更新

今年に入ってから、どういうわけでしょうか、淋病が目立ちます。風俗店へ行ったり、無防備なセックスがあった翌日から数日後に、尿道から膿がダラダラと流れ出す典型的な淋病が多いのですが、クラミジアと判断に悩む比較的軽症のケースもよくみられます。

 去年から淋菌とクラミジアを同時に検査することが保険で認められましたが、結果が出るまで1週間かかってしまうので、いま苦しんでいる患者様のためには、エイッと経験に頼った直感で治療を開始しなくてはなりません。なお、淋病とクラミジアはしばしば同時に感染しますので、どちらなのか判断がつかなくて当然の場合もあります。

 淋菌という菌が抗生物質への耐性の獲得が非常に早い菌なので、新しい薬が出てもじきに効かなくなってしまいます。そんな中でも現在一番有効性が高いのは、セフトリアキソンあるいはスペクチノマイシンという2種類の薬で、両方とも注射薬です。飲み薬だけで淋病を治すのは今では殆ど不可能です。このことをご存知ない医師が多いため、あるいは派手に宣伝している保険を扱わない医療機関の中には故意に治療を引き延ばすため(?)、飲み薬だけで治療を受けて何週間も悩み苦しんでいる方もしばしばお見受けします。

 先日は注射をしましょうと言ったら逃げてしまった方もいらっしゃいましたが、今頃どうされているでしょうか。淋病は放っておくと尿道にとどまらず、奥へ入って行き、精巣が腫れあがったりすることもある恐ろしい病気です。注射が痛いのは一瞬です。怖がっていないで当院へお越し下さい。保険証をご持参いただいて、淋病かクラミジアで治療するなら多分4000円以内でおさまります。

投稿者: PL607935010

2008.03.20更新

平成20年8月より気管支喘息の医療費自己負担分に対する東京都の助成が従来の18歳未満から、全ての年齢に拡大されます。これは東京大気汚染訴訟の原告と国、都、自動車メーカー7社、首都高速道路会社との間に成立した和解を受けて、創設された制度です。

追記:原資が無くなったため平成27年3月末で新規申請が締め切られました。認定を受けられている方は平成30年3月末まで無料継続。それ以降は1ヶ月の自己負担6000円を超えた分について補助が行われることに決定しました。詳しくはこちら

投稿者: PL607935010

2008.02.29更新

生来の筆不精に加えて、最近テンションが低く、更新が2ヶ月もご無沙汰しておりました。
現在中国広州で世界卓球選手権が行われております。

日本女子チームは予選を全勝で通過し、準々決勝も勝利しましたが、本日の準決勝シンガポール戦で0-3で敗れ銅メダルとなりました。敗れはしましたが、これまでの戦いぶりは素晴らしいものでした。特に予選のグループ一位を賭けた、韓国との戦いの2勝2敗で迎えた最終試合での、ファイナルセットまでもつれこんでからの福原愛選手の驚異的な粘りと、勝利しての涙、彼女を迎えるチーム全員も涙、涙。見ていた私も思わず涙ぐんでしまいました。福原選手だけでなく、準々決勝まで全勝でチームを引っ張った平野早矢香選手、世界一と言われる変幻自在なサーブで相手を翻弄した福岡春菜選手、若干15歳で日の丸を背負い強豪に善戦した石川佳純選手、チームをまとめ自身も勝利を挙げたキャプテン藤井寛子選手、皆素晴らしい頑張りでした。心から拍手を贈りたいと思います。皆若い選手達なので次回の横浜大会ではより一層の期待が持てそうです。
 今でこそデブですが、私も学生時代は卓球部に所属しておりました。教室で過ごした時間よりも卓球場で過ごした時間のほうが長いほどです。機会が有ったらまたやりたい気持ちは有りますが、アキレス腱を切るか、心臓発作を起こすかしそうなので、想像するだけにしておきます。
 男子チームも銅メダル以上を確定し、明日準決勝です。テレビの前で精一杯応援したいと思います。

投稿者: PL607935010

2007.12.31更新

年内の篠崎医院の診療は29日で終わり、今日は江戸川医師会の急病診療所へ出ておりました。ノロとインフルエンザの流行が重なり大忙しの年末でした。

 おかげさまで当院へお越しいただいた患者様もはじめて月500人を超えました。有り難いことです。

新年は2日にまた急病診療所へ出て、5日から篠崎医院での診療をはじめます。8月には少し長めにお休みをいただいて、念願だったイタリアへ旅行したいと思っています。そのためイタリア語を勉強中ですが、大分頭が固くなっているようで、覚えが悪くて困ります。

 新しい年が皆様にとってよき年となりますように。篠崎医院も引き続きよろしくお願いいたします。

投稿者: PL607935010

2007.11.27更新


インフルエンザの予防接種がピークで普段の日が結構忙しいので、混雑を覚悟で上野の国立西洋美術館で行われているムンク展に休日に行ってきました。案の定切符売り場から行列でした。

 ムンクは昔から、魂に訴えかけてくるような”叫び”が心に響き、好きでした。独身時代”マドンナ”のパネルを壁に飾っていたのですが、結婚した途端、妻に捨てられてしまった思い出もあります。

 ”不安””絶望””吸血鬼””死の苦しみ””屍臭”と恐ろしげなタイトルの作品が続きます。鬱病が急激に増えている現代に生きる人間には(少なくとも私には)むしろ共感を持って受け入れられるものでした。

 中学生以下入場料無料のせいでしょうか、子供たちの姿をおおぜい見かけました。感想を聞いてみたいところでしたが、感動を受けたのでしょうか。いずれにせよムンク好きの子供がどのように成長していくのか楽しみに思いました。

投稿者: PL607935010

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