最近とてもしばしば予約についてのお問い合わせの電話をいただきます。
予約制をとる施設が年々増えているせいでしょうが、当院では予約は承っておりません。
予約制の病院の勤務医だったころ、お年寄り達が雪のなかを危なっかしい足取りで来院されたり、具合が悪いのを予約の日まで我慢されていたりしたケースをたくさん見てきたからです。うまいこと話を切り上げて5分で終わりにする、といった高度なテクニックを私が出来ないことも理由です。
世の中がどう変わろうと、私の目の黒いうちは断固予約制はとりません!
当院のような零細医院でも混むときは混むので、お待ちいただく事もありますが、暇なときは暇なので居眠りしていることもあります。そんな時でもナースはちゃんと起きていますので大丈夫です。(何が?)
ただし例外ふたつ。
予防注射は在庫していませんので、お電話くださいね。
新型インフルエンザの方(自分でわかる訳ないですよね、当院でも確定診断はできません)は他の方と時間を分けろとのお達しがでていますので先にご連絡ください。
2009.07.02更新
第51回 予約を受けない理由
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2009.05.19更新
第50回 新型インフルエンザpart2
新型インフルエンザが日本に上陸して数日感染者は早くも170名を超えて拡がりを見せています。ワクチン製造は間に合いませんでしたが、症状は比較的軽いようで、従来のインフルエンザと差が無いようです。誤解のないように申し上げておきますと、日本でこんなに急速に感染者数が増えているのは、日本でだけパンデミックが起きているという意味ではありません。日本の、それも兵庫県と大阪府がとびきり熱心に確定診断に努めているから生じている現象で、新型かそうでないかを確定するのは実は容易な作業ではありません。ちなみに当院では対応できません。防護衣着用の上鼻の奥の粘膜を擦って採取した綿棒をウイルス輸送用の培地に入れて冷却、バイオハザード対応の容器に入れて東京都健康安全研究所センターに送ってPCR法で検査してもらうことになるのですが、これができるのは保健所と発熱外来だけです。東京で検査可能なのは一日500件が上限、さらに検査に必要な試薬の供給が厳しくなってきています。一人当たりの検査費用は4万円とか。そのためどんな場合に確定診断診断まで行うかという都が決める基準が段々狭められています。心配だからという理由では受け付けてもらえません。
今のところウイルスの毒性が強くないとことがはっきりしてきたのに、国は全例検査全例隔離の看板を下ろそうとしない。地方は運用で何とかやりくりしなくてはなりません。国内で蔓延が始まっているのに検疫の縮小もこれから検討すると・・・一体国のこの意思決定の遅さは何だ!通常のインフルエンザと同じ対応で行けと早く指示して貰いたいものです。非常事態には誰かが責任を被る覚悟を持って、決断を下さなければならないものですが、それは一体誰なのでしょうか。大臣?彼は素人、テレビにたくさん映って嬉しそうですが決断を下させるのは間違い。医政局長?健康局長?それとも国立感染症研究所長?実は私にはわかりません。官製パニックと後世言われないようにして貰いたいものです。
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2009.05.06更新
第49回 新型インフルエンザ
皆様連休も残り少な、いかがお過ごしでしょうか。 私はといえば、もう子供たちもついてくる歳でもなく、どこへ行くにしても混雑と喧騒にまみれるこの時期に動き回るのは好きでないので、昨日は江戸川区医師会の休日急病診療所に出ておりました。 メキシコ発の新型インフルエンザが世界的流行の兆しを見せているこのごろ、公衆衛生の第一線に立たれている方々は休日返上で頑張ってくれています。最新情報は感染症情報センターhttp://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/index.htmlにあります。このページは本来の業務の傍ら、国立感染症研究所のスタッフがボランティアで更新してくれています。大事なところを個人の努力頼みにする、いかにも日本の現状らしい状況ではあります。 検疫所も日本へのウイルスの上陸を1日でも遅らせるよう必死で働いておられます。1日上陸が遅れればそれだけワクチンが間に合う可能性が高まります。 今のところ震源地のメキシコで何が起きているのか今ひとつはっきりしませんが、それほど毒性が高いものではないようですし、タミフルやリレンザも効くようですので必要以上に恐れる必要はないようです。その上これからはインフルエンザの流行に適した時期でなくなります。 但し1918年のスペイン風邪のとき、夏に一旦流行が収まったあと、冬になって第2波の流行がきて、その時には毒性が強力なものに変異していたようですので多くの死者が出たようですので油断はできません。その間にワクチンが間に合えば良いのですが。 昨日の急病診療所では、医者も患者さんもお互いに神経質になっていて、ちょっとした熱ですぐインフルエンザの簡易検査を行ってしまいました。空振りが多かったですが、A型陽性の方もおいででした。海外渡航歴は無かったので、新型では無いと判断しましたが、患者さんの方も治療薬を積極的に希望されておられる傾向があるようでした。 新型で誰も免疫なし、高い感染性、強毒性への変異、タミフル耐性などの悪条件が重なるととてつもない悲劇がおこります。そのようなことが起きないよう願ってやみません。
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2009.05.05更新
第48回ハードディスククラッシュ
久しぶりの投稿になります。 最近なんとなくパソコンの不安定さを感じておりましたところ、ある日ぞっとするような場面でフリーズし、それきり起動しなくなりました。 パソコンのキャリアだけは長く、MS-DOSの時代から付き合っている私なので、いろいろなトラブルに遭遇してきております。CPUが壊れると何が起きるかも知っていますし、電源がボンという音とともに煙をふいたなどという場面とも遭遇しております。今回の原因はすぐ思い当たりました。 そう、一番起きて欲しくないトラブル、ハードディスクのクラッシュでした。経験するのは3度目です。
自室を持たず、居間で生活している私はノートパソコンを使っておりますので、自分でパーツを買ってきて交換するわけにもいかず、メーカー送りでしばらく入院となりました。退院してくるまでの間、個人用のパソコンに触れない日々です。 すると常日頃いかにパソコンに依存して生活していたかを思い知らされました。ほとんど禁断症状に近い感じです。同時にまたパソコンがないといかにフリーの時間が増えるかということを知りました。本棚から画集を引っ張り出してきてながめたり、保存版のVHSのビデオテープを見たりなどしておりました。 で修理が終わり、新品のハードディスクになってパソコンが戻って参りました。 請求書が台湾製パソコンなら新品が買えてしまう値段で涙。 環境設定でスッタモンダでまた涙。 大事なデータは二重にしているつもりでしたが、いざとなるとあれが無い、これが無いでまた涙であります。 いろいろなパスワードをまとめたファイル(IDマネージャーというソフトを愛用しております>これが何より大事!!)や長い間録りためた音楽や写真が別にも(というか内蔵ディスクには入りきらないのでそもそも外のディスクに置いてある)保存されていたのが幸いでした。 ようやく苦労してホームページの更新ができるところまでこぎつけました。 これからまたよろしくお願いします。 皆様もお体とハードディスクの健康にお気をつけて。
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2009.04.11更新
第47回 日本内科学会
今日土曜日、午後から日本内科学会へ行って参りました。 そう見えないかもしれませんが、私も内科医のはしくれ、一応認定医の肩書きをいただいておりますので、これはノルマ。行かないでいると認定医の更新ができなくなります。ちなみに参加費1万円。いわゆるみかじめ料みたいなものであります。 慢性関節リウマチの最新治療とか、骨髄異形成症候群の最新情報とか、少しでも疑わしいと専門家に紹介してしまうたぐいの病気の、普段あまり勉強していない話が聴けてそれなりに有意義でした。
で、ご紹介したいのが慢性関節リウマチの医療経済の話。学会では1分弱触れられただけでしたが、現在の医療の抱える問題の一端が出ていました。 この病気はどんどんと新薬が出て、劇的に治療が進歩している領域です。ところがその新薬いわゆる生物学的製剤がとてつもなく高い。おひとりの新薬一剤一年分の薬剤費だけで140万円にもなる。で一方とんでもなく恐ろしい副作用も多い。果たして本当に引き合うの? 慢性関節リウマチに限らず、最近の新薬はとても高い。大病院の先生方は薬の値段にあまり関心が無いでしょうが(かつて私もそうでした)今は院内処方で自分で請求書まで作る身ですから薬の値段に敏感にならざるを得ません。あまりに高い薬はうちでは買えないという悲しい現実もあります。 国民医療費の中で薬剤費は年々高騰していますが、その反面社会保障費毎年2200億円削減という看板はいまのところ現政権は降ろしておりません。当然医療機関や介護施設の取り分がどんどん切り下げられていきます。あちこちで病院が潰れはじめています。介護の方は今年3%アップとアナウンスされていますが、そうなる以前に2年毎の報酬改定で3回連続マイナス改定などということをして、制度の維持が危うくなったからでしょうが、霞ヶ関の官僚はとても頭が良いので名目プラス実質マイナス(一部は上がるが一部は下がる、全体としては下がる)などという離れ業を使うので本当にアップしたかどうかは何ヶ月か経たないとわからないでしょう。 ”年次改革要望書”このキーワードをご存知でしょうか?アメリカが毎年日本に突きつけてくる要求です。秘密でもなんでもなくアメリカ大使館のホームページで原文が、Wikipediaで検索していただければ邦訳も読むことが出来ます。それに対する日本の回答はシークレットですが、現在進行中の政策を見ると容易に推測は付きます。 そのなかに誤解の余地無く、日本の薬価をもっと引き上げろ、加えて年が経つほど薬価が下がる日本の制度を廃止しろと書かれています。 多くの薬はアメリカ発ですから、明らかにアメリカ製薬会社の利益の拡大が目的です。 これを受け入れたのは多分前の前?そのもう一つ前だったかな?構造改革と規制緩和の名のもとに、社会保障や教育など非生産部門には金をかけないと宣言していた政権です。 そのツケはその政権に圧勝させてしまった国民が今後払い続けなければなりません。 なんだかまた暗くなってしまいました。乞ご容赦。
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2009.03.24更新
第46回 侍ジャパン祝優勝
WBC日本代表、侍ジャパンの皆様優勝おめでとうございます。
日本代表というのは無条件で応援できて、いいですねー。
久々に興奮しました。
といっても1点リードの9回裏ツーアウトの場面で患者様がお見えになって、ウオノメを削ったりいろいろしてテレビに戻ると、なぜか延長10回の裏2点リードで、何が起こったのかよく解らないうちに、最後のバッターを三振にとったので、とりあえず万歳です。
今大会通じて松阪、岩隈、杉内はじめ投手陣は素晴らしい活躍でした。ダルビッシュも最後にヒヤヒヤさせてくれましたが、あの若さで日本を背負って大したものです。
打つほうでも不調に苦しんでいたイチローが最後見事に決めてくれました。
メジャーリーガーを揃えたアメリカなどの各国を、日本と韓国が圧倒していた光景は、個々の選手の能力だけではない、チームとして一丸となって勝利のために意思統一していくことが如何に大事かを教えてくれたように思います。
医者の世界でも一つの領域に特化したエキスパートは確かに大事ですが、総合的に全身を診ることもより以上大事だと、当院の宣伝めいたことを便乗して言わせていただきます。
今夜はお酒がおいしそうだ。
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2009.01.11更新
第45回 絶望という絶品
寒い日が続きます。新年が明けて急にインフルエンザや胃腸炎が流行りだし、当院も結構忙しい日が続いています。皆様予防にお気をつけ下さい。
今日は千葉市立美術館で開催されている雪舟展に行ってまいりました。
写真は途中お昼にいただいていったスパゲッティ、その名も”絶望ソースのパスタ”です。実においしかった。ミートソースに見えますが、実は野菜だけ、色も暗いということでこの名がついているそうです。昨年夏行って来たイタリア・ウンブリア州の3つ星のレストランで修行されたシェフの腕は確かです。場所が好くないのか比較的に空いておりましたので、勝手に宣伝しておきます。千葉のラ・タベルネッタ・アッラ・チビッテリーナというとても長い名前のお店です。
イタリアとルネサンスにはまっている私としては久しぶりの日本画の鑑賞です。割と不便な場所での展覧会で、意外と言っては失礼ですが結構多勢の客で賑わっておりました。
岡山県立美術館の所蔵する作品を中心にした展示で 雪舟の他、宮本武蔵や富岡鉄斎が展示されていました。
見にくい写真ですみませんが(スキャナーを持っていないもので)今回一番印象に残ったのがこの宮本武蔵の作品、左からカワセミ、布袋、スズメです。きわめてシンプルに単色で、しかも極力描く部分を減らしていながら、いまにも動き出しそうな躍動感です。一瞬をとらえるその眼力は剣の世界に通じるのでしょうか。世界に誇れる作品と感じました。
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2008.12.31更新
第43回 1年間有難うございました。
当院は29日で終了。本日は医師会急病診療所に詰めておりました。インフルエンザがパラパラ、胃腸炎がパラパラ。その他いろいろ。で、全体としては結構な人数がお見えになりました。帳簿をつけたり、お釣りを揃えたりといった手間が無い分、普段よりはむしろストレスが少ない感じでした。
今年は年来の念願叶ってイタリアにも行けましたし、当院へお越しいただいた患者様もおかげで増加いたしました。私にとってはまずまずな年だったように思います。
紅白はポニョだけ見て、1年分のデジカメデータをDVDに保存したりして、あとはこのブログをアップして1年が終わりです。
明日元日はお休みをいただき、2日からまた医師会です。当院の診療は5日から再開いたします。
世は未曾有の不景気に突入しております。この業界でも、少々のことでは受診を控える傾向が見られ始めています。皆様には健康に留意されて、この逆風を乗り切っていただけますようお祈り申し上げます。新しい年もよろしくお願いいたします。
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2008.12.11更新
第42回 夜会と耳鳴り
早いもので師走も半ば、今年もあっという間に残り僅かです。
例年なら書き入れ時のはずのこの時期、インフルエンザもノロも今のところ流行せず、とても静かな日々が過ぎています。世のためにはきっと喜ぶべきなんでしょうね。
なんだか最近ついていません。
先日は財布を無くしました。落としたのか、掏られたのかもわかりません。妻に小遣いを貰った翌日のことで、痛いことこの上ない。「あなたが悪い」と小遣いの再給付は福沢諭吉1枚のみ、クレジットカードも無くなってしまった上、運転免許の再交付の手数料もそこから払ったので、かなり苦しい日々が訪れました。しかし世の中に免許を失くす人がこれほど多いとは思いませんでした。再交付の窓口には行列が出来ておりました。
加えて最近耳鳴りに襲われるようになり、キーンという高い音が両側で続いています。右と左が微妙に音程が違うので頭の中心で不協和音となって響きます。これはもしやと、聴力検査の器械を引っ張り出して、自分で調べて見ると案の定高音域での聴こえが落ちています。中島みゆきメロディーをこの数年聞き続けていたせいのヘッドフォン難聴で間違いなさそうです。治療法は・・・特になし。音量には気を使っていたつもりなんですがねえ。これ以上は悪くしないよう耳をいたわるしかありません。
で昨日はその中島みゆきの夜会へ耳鳴りを連れて行ってきました。「夜物語ー元祖・今晩屋」というタイトルを最初に眼にしたときは、何だコリャと思いましたが、山椒大夫の安寿と厨子王のその後がテーマと知り、森鴎外を予習して会場に臨みました。が結果から言えば良く解りませんでした。まして付き合いで連れられて行ったような方にはまったくチンプンカンプンだったでしょう。この世のことは簡単にはリセットできない、生まれ変わっても業は引き継がれていくというような内容と私は理解しましたが、一つ一つのシーンの意味では良く解らないものが多かったです。曲にも「らいしょ」とか「こつじく」とか聞き慣れない単語が多くて、古典の知識のない私は付いていくのに苦労しました。「有機体は過去を喰らふ」なんてまるで前衛芸術のようじゃありませんか。
ちょっと欲求不満を残して、今年後半における私の中での最大のイベントが終了。でもきっとDVDが発売されたら買っちゃうんだろうな。
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2008.11.23更新
第41回 ボッティチェリ
昨日から12月28日まで新宿の東郷青児美術館で行われている丸紅コレクション展に行って来ました。ボッティチェリの美しきシモネッタをメインに、江戸時代の着物などの展示が同居するちょっと不思議な展覧会でした。
実は先日フェルメール展にも行って来たのですが、あまりの人の多さに辟易して、感想をアップする元気も無かったのですが、しかし今日の展覧会は日曜日にもかかわらずゆったり鑑賞できました。夏に訪れたウフィーツィ美術館やアカデミア美術館では、入館を厳しく制限するので、入館待ちの長蛇の列ができますが、一旦中に入ればゆったりと鑑賞できたのですが、ただそうすると入らずに帰ってしまう人が多いので、経営的にはどんどん詰め込んだ方が有利なのでしょうね。
シモネッタ・ヴェスプッチという女性もルネサンスに興味のある人間にとってはとても興味深い存在です。しかしそんなことは関係なくとても美しい女性、素晴らしい絵でした。こんな絵が日本にあったのですね。ダ・ヴィンチとは対照的なくっきりとした輪郭線、極端なまでに簡素化された背景。そしてなによりもその色彩。
ウフィーツィ美術館の春やヴィーナスの誕生に比べると小品ですが、むしろそれらを凌ぐボッティチェリの代表作でしょう。
この絵が日本に来て30年、公開されるのは3回目、普段は丸紅の役員室に架けられているそうです。是非丸紅さんには、太っ腹なところをみせて、西洋美術館あたりに常時貸し出して、常に誰でも見られるようにしていただきたい、と切に思いました。お薦めの展覧会です。
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